月別アーカイブ: 2012年1月

タプル

JIS X 7206

XBRL tuple 要素の代替グループに属する要素。
タプルは,複合的な事実において部分を束ねるために用いる。
タプルの構成要素は,それぞれが事実であるが,お互いを参照して解釈しなければならない。
例えば,正確に理解されるためには,会社の取締役の氏名,年齢及び報酬は,一緒に記述される必要がある。

項目

JIS X 7206

XBRL item 要素の代替グループに属する要素。
項目は,事実の単一の値をもち,事実を正確に解釈するために必要なcontext 要素(及び数値的項目の場合にはunit 要素)への参照を含む。
項目が,あるタプルの子として出現する場合,それと同じタプルの子である他の項目及びタプルに照らして解釈する必要がある。
項目には,数値項目及び非数値項目がある。数値項目では,計量の精度及び計量単位を記述しなければならない。

XBRL インスタンス文書

JIS X 7206

xbrl 要素をルート要素とするXML 素片。
XBRL インスタンス文書は,それらを支持するDTS で定義する概念に対応する事業報告の事実を含む。XBRL インスタンス文書は,インスタンスの事実を解釈するために必要な追加情報を提供する文脈及び単位を含む。

正しい(JISの)規格とは異なりますが、拡張子が「.xbrl」となっているファイル(ルート要素がxbrl要素になっている)そのものを指すことが多い。

事実(fact、ファクト)

JIS X 7206

事業報告の対象となる事実。
単純な事実の場合,比率で表す値をとる単一の事実であるときを除き,その値を単純な内容として表さなければならない。複合的な事実の場合,他の単純な事実及び/又は複合的な事実によって値を形成する。
単純な事実は,項目を用いて表現し,この規格では,項目 (item) と呼ぶ。複合的な事実は,タプルを用いて表現し,この規格では,タプル (tuple) と呼ぶ。

いろいろやってみよう

XBRLからEXCELを使って財務指標を計算する方法は一通り説明しました。後は、実践あるのみです。
実際に、さまざまな企業の有価証券報告書XBRLデータを使って財務分析をしてみてください。
例えば、特定の企業の過去の全XBRLデータを集めてきて、時系列分析をするのもよいでしょう。EDINETにはXBRLデータは2008年7月以降に開示された有価証券報告書(半期・四半期報告書)分がありますので、過去3年分くらい集めることができます。
ツールを使って四半期ごとの売上高や利益の推移をまとめ、EXCELのグラフ機能を使えば簡単・きれいに説得力のある資料を作成できることと思います。
ライバル企業のデータを集めて比較分析する、なんていうのも同じです。
EDINETだけでなく、TDnetで開示されている決算短信や業績予想などもXBRLで開示されています。ツールはEDINETのXBRL向けに作成しましたが、TDnetのXBRLでも問題なく動作しますので、投資家はXBRLデータから投資判断を自動で行うようなロジックをEXCELだけで作成することができるでしょう。

ダウンロードがめんどくさい

XBRLを使えば使うほど感じるのは、現在のEDINET/TDnetだとXBRLを集める作業がめんどくさい、という点につきます。XBRLがコンピュータで使われることを想定しているのにもかかわらず、EDINETもTDnetも、ダウンロードを手作業でやらせることを想定しています。これは、EDINETやTDnetに対して、XBRLのほうが後付けの機能なので仕方がないところもあります。
この点に関しては、[有報キャッチャーウェブサービス AtomAPI]で、簡単なAtomAPIでXBRLデータを取得できるサービスが展開されています。
とはいえ、やはり開示元であるEDINETやTDnetから1次ソースをいち早く確実に取得したい、というのが情報利用者の本音だと思います。
2013年に稼動が予定されている次世代EDINETでは、この点が改善されることを大いに期待しています。

総資産当期純利益率(ROA)

総資産当期純利益率(ROA)を計算します。
引き続き、サンプルデータには、三菱重工の2011年3月期の有価証券報告書のXBRLデータを使います。
有報キャッチャーからも直接ダウンロードできます[直リンク])
ここでは、ROAの計算式は、以下のとおりとします。

ROA = 純利益 ÷ 総資産 × 100

必要な数値は、「純利益」と「総資産」です。勘定科目リストから、「純利益」は『NetIncome』、「総資産」は『Assets』がよさそうです。
注意すべきはコンテキストです。NetIncomeは期間コンテキスト、Assetsは時点コンテキストですので、以下のように入力すればよさそうです。(緑のセルは計算式です)
総資産当期純利益率(ROA)1
計算結果は以下のようになります。
総資産当期純利益率(ROA)2
うん、ばっちり。
それにしても三菱重工、昨年に比べると資産を圧縮する一方で純利益が倍増したので、ROAがずいぶん改善したのがわかります。それでも低いけど。ちなみに筆者はもう5年以上もこの会社の株主です(ちょっとだけどね)。

もう少しだけ厳密に

ところで、ROAのように、財務指標の計算で期間コンテキストの値と時点コンテキストの値を両方用いるときは、時点コンテキストの値は、期間の開始時点と終了時点の平均をとる場合があります。(ちょっとググってみたら、アルパカの会社なんかが、採用していました)
ROAでいうと、計算式が以下のようになります。

ROA = 純利益 ÷ ((総資産(期首時) + 総資産(期末時)) ÷ 2) × 100

ROAの理論としては、こちらのほうがより厳密(理論に近い)と言えます。
この計算式で計算してみましょう。
総資産当期純利益率(ROA)3
さて、期首のコンテキストはどうすればよいでしょう。コンテキストの命名規約を見ても、時点コンテキストは各期間コンテキストの終了時点しか存在しません。
結論から言うと、期首時点コンテキストは、その前の期間の期末時点コンテキストになります。
例えば、『今期の期首のコンテキスト = 前期末のコンテキスト』なのです。
基本的な会計の知識があれば、当たり前ですね。前期末の現金残高が今期の期首の現金残高は同じでしょ、と。
この点、XBRLの仕様上は以下のように記述されています。

instant 要素の内容に時刻指定がない日付を指定したときには,同日のT00:00:00 のP1D後,すなわち,一日後をdateTime として指定したものとする。これは,日が終了する午後12 時を表す。

ちょっとわかりづらいのですが、「instant要素の内容に時刻指定がない日付を指定したとき」というのが、時点コンテキストになります。時点コンテキストの時間指定がない場合(普通はない)は、その日の終了する午後12時、つまりその日から次の日に変わる瞬間、を表す、ということなのです。
具体的な例で見てみましょう。
ある期間コンテキストのinstant要素が「2011-03-31」であった場合、それは、2011年3月31日から2011年4月1日に変わる瞬間を意味します。それは、2011年3月31日で終わる期間の期末時点であり、かつ、2011年4月1日から始まる期間の期首時点でもあるわけです。
では、CurrentYearConsolidatedDuration(今年度・連結・期間)の期首時点のコンテキストはなんでしょうか?それは、前年度・連結・時点コンテキスト、すなわち「Prior1YearConsolidatedInstant」です。さらに、Prior1YearConsolidatedDuration(前年度・連結・期間)の期首時点のコンテキストは、前々年度・連結・時点コンテキスト、すなわち「Prior2YearConsolidatedInstant」となるわけです。
総資産当期純利益率(ROA)4
今期のROAは計算できましたが、前期のROAがエラーになっています。このXBRLインスタンスには、Prior2YearConsolidatedInstantのAssetsのファクトが存在しないようです。
現在では、EDINETの有価証券報告書のXBRLには、財務諸表の本表部分の数値が記述されているだけです。Assetsは貸借対照表上の数値ですが、貸借対照表は今期と前期の数値しかありません。ですので、前々期のAssetsは存在しないのです。
前期(2010年3月期)のROAを計算するためには、2010年3月期の有価証券報告書のXBRLを使って同じ計算をすればよいのです。三菱重工の2010年3月期のXBRLインスタンスはURL「http://resource.ufocatch.com/xbrl/edinet/ED2010062400796/jpfr-asr-E02126-000-2010-03-31-01-2010-06-24.xbrl」で直接参照することができます。セルA1にこのURLを入力するだけで再計算されますので、興味がある方は、ぜひご自分で試してみてください。

売上高経常利益率

売上高経常利益率を計算します。
引き続き、サンプルデータには、三菱重工の2011年3月期の有価証券報告書のXBRLデータを使います。
有報キャッチャーからも直接ダウンロードできます[直リンク])
売上高経常利益率の計算式は、以下のとおりです。

売上高経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100

必要な数値は、「経常利益」と「売上高」です。
対応する要素を決めますので、勘定科目リストから、「経常利益」と「売上高」に該当しそうな要素を探していきます。「経常利益」は『OrdinaryIncome』、「売上高」は『NetSales』がよさそうです。
では、計算式がほとんど同じなので、流動資産のときのシートをコピーして、売上高経常利益率を計算してみます。分子のCurrentAssetsをOrdinaryIncomeに、分母のCurrentLiabilitiesをNetSalesに変更すればよさそうですね。
売上高経常利益率を
あれ?エラーになりました。
そういえば、コンテキストの確認を忘れていました。
OrdinaryIncomeやNetSalesは、勘定科目リストによると、periodTypeがdurationになっています。CurrentAssets/CurrentLiabilitiesはinstantでした。ということは、コンテキストが違うので修正する必要がありそうです。コンテキストの命名規約によると、時点コンテキストを期間コンテキストに直すには、最後の「Instant」を「Duration」に変更するだけでよさそうです。
売上高経常利益率2
これでよさそうですね。
PDFの有価証券報告書と同じ(正しい)数値が取得できていることが確認できます。

日本におけるXBRL適用範囲

XBRLが金融庁(EDINET)とTDnet(東証)で運用開始されましたが、現在では
XBRLの適用範囲は(意外にも?)限定的です。

EDINETの場合

有価証券報告書、四半期報告書、半期報告書、および、有価証券届出書の
財務諸表部分(第5 経理の状況」における「貸借対照表」、「損益計算書」、
「株主資本変動計算書」、「キャッシュフロー計算書」まで)が対象になっています。

以下、金融庁のサイトより転載

平成20年4月1日以後に開始する事業年度に係る有価証券報告書・半期報告書・四半期報告書・有価証券届出書にはXBRLが導入されます。
XBRLの対象となるのは、これらの開示書類のうち、財務諸表本体であり、注記や付属明細表は対象外となります。財務諸表以外の部分は従来どおりHTML形式で作成します。対象者は、これらの開示書類の全ての提出者であり、特定有価証券の発行者も含まれます。
ただし、日本の会計基準に基づき財務書類を作成していない外国会社、外国ファンドについては対象外となります。
また、内国会社のうちSEC登録企業など、米国式連結財務諸表を作成している会社の当該連結財務諸表も対象外となります。

TDnetの場合

決算短信サマリ
”決算短信PDF”の1ページ(サマリ)に対応(「決算短信タイトル」から「業績~その他」まで)
財務諸表(連結)、財務諸表(個別)
”決算短信PDF”の「貸借対照表」、「損益計算書」、「株主資本変動計算書」、「キャッシュフロー計算書」まで対応
業績予想の修正
”業績予想の修正PDF”のすべてが含まれる
配当予想の修正
”配当予想の修正PDF”のすべてが含まれる

コンテキストを決める

インスタンスファイルから要素を指定してファクトを取り出すと、複数のファクトが出てきます。これらは同じ要素のコンテキスト違いのファクトです。ファクトは、要素名とコンテキストでユニークになっています。
 コンテキストとは、日本語で文脈という意味です。XBRLでは、そのファクトがどのような文脈(事業体・報告期間・シナリオ)に属するのかを示しています。
EDINETで開示されるXBRLデータでは、ガイドラインによってコンテキストの命名ルールが決められています。

EDINETのコンテキスト命名ルール

引用元:報告書インスタンス作成ガイドライン

コンテキストID:{相対年度}{連結・個別}{期間・時点}

相対年度

設定値 説明
CurrentYear 当年度
Interim 中間期
Prior1Year 前年度
Prior1Interim 前中間期
Prior2Year 前々年度
Prior{数値}Year {数値}年度前
CurrentYTD 当四半期累計期間
CurrentQuarter 当四半期会計期間
Prior{数値}YTD {数値}年度前同四半期累計期間
Prior{数値}Quarter {数値}年度前同四半期会計期間
LastQuarter 前四半期会計期間
Prior{数値}LastQuarter {数値}年度前の前四半期会計期間

連結・個別

設定値 説明
Consolidated 連結
NonConsolidated 個別(非連結)

期間・時点

設定値 説明
Instant 時点
Duration 期間

ファクトが期間のコンテキストに属するか、時点のコンテキストに属するかは、要素のperiodType属性によって決まります。基本的には、BS科目(資産・負債・資本に属する勘定科目の要素)はある時点の状態を表す概念なので、時点コンテキストに属し、PL科目(収益・費用に属する勘定科目の要素)はある期間の成績を表す概念なので、期間コンテキストに属します。
例えば、流動比率の計算のときの「CurrentYearConsolidatedInstant」は、その有価証券報告書の『当年度・連結・時点』、「Prior1YearConsolidatedInstant」は、『前年度・連結・時点』を表すコンテキストです。CurrentAssetsやCurrentLiabilitiesが時点コンテキストに属すため、これらのコンテキストのファクトを抜き出しています。
コンテキスト